Mr.Kの悩める囲碁日記 >これで納得基本死活 >格言にみる基本死活
2004年2月20日 追記 −−−−−>
2003年度7月の囲碁日記のところにも書きましたが、格言にみる基本死活第10型に書かれている隅のマガリ四目は死に対する解釈は間違っています。実は、あれは、平成元年に 『 日本囲碁規約 』という決まりが出来る以前の古い解釈なんです。あれを作成したのは、囲碁を初めて1年半くらいの時で、棋力は、碁会所で言うと、やっと10級を脱出したくらいだったかなぁ。ですんで、自分の知識がお粗末だったのと、その時参考にした資料が古かった(古いと言っても、3年前に普通の書店で買った日本棋院の本。現在も堂々と書店に並んでいます。おかしいよね。)ため、間違ったこと書いちゃったんですよね。あれをずっと鵜呑みにしていた方々、申し訳ない。ここでは、改めて、隅のマガリ四目は死のことについて説明しようと思います。
隅のマガリ四目は死をちゃんと理解するには、少々、歴史をひもとく必要があります。前書きに、平成元年に 『 日本囲碁規約 』という決まりが出来て・・・・ と書きましたが、これ以前に、決まりがなかったわけではありません。昭和24年に、『 日本棋院囲碁規約 』という決まりが作られています。これにより、昭和時代はずっと、僕が第10型で説明した理由で、隅のマガリ四目は死とされていました。
ところが、近年になって、日本棋院囲碁規約による隅のマガリ四目は死の解釈は、おかしいのでは?と議論されるようになりました。
というのは、日本棋院囲碁規約の解釈の中には、コウ立てを全てなくしてコウを仕掛けるから、相手はコウ立てがなくて勝てない。という部分が出てきますが、そもそもコウ立てを全てなくすことが可能なのかという点です。実は、これは限りなく不可能に近いんです。コウ立ての中には、どうしても絶対、消せないものや、消せるけども、消すと自分が損する損コウというものがあるのですから。よって、日本棋院囲碁規約での解釈では、隅のマガリ四目は死と証明出来なくなってしまったのでした。
そこで、平成元年になり、『 日本囲碁規約 』という新しい決まりが出来た時に、隅のマガリ四目の形は死と証明できるような条文もその中に盛り込まれました。
『 日本囲碁規約 』のうち、‘’隅のマガリ四目は死‘’に関係する条文は、以下のものです。
直接的に、‘’隅のマガリ四目は死‘’に関係するのは、最後の第七条の2項だけです。
さて、上の文章(特に赤文字の部分)を読んで、隅のマガリ四目は死になる理由は、分かったでしょうか? これだけで分かってくれると僕は非常に楽なんですが。(笑) 多分、分からない人が多いと思うので、以下のアプレットで説明します。なお、下の図は、それぞれ外回りの白は、もちろん、二眼を持って、しっかり生きているものとします。
分かったでしょうか。なお、上のアプレットでは、黒を取りにいく説明のために、中に石を入れていきましたが、実際の対局では、そんなこともする必要はありません。対局の停止となった時点で、死が確定しているのですから。今後、もし、実戦で、隅のマガリ四目は死の形に納得しない人に出会ったら、”平成元年に定められた『日本囲碁規約』第七条の2項により、黒死と定められてるんです。”とでも答えれば、それで充分です。(特に、数字の部分は、正確に覚えていましょう。どんなに理屈ばっかりいう人でも、数字にだけは弱いものです。それだけでこの人は、勉強してるんだなぁと信用してくれることでしょう。たぶんね。(笑) )
最後に。隅のマガリ四目の話ばっかりになったので誤解しないでほしいのですが、この日本囲碁規約というのは、隅のマガリ四目は死のことだけのための規約ではありません。あくまで囲碁全体の規約であって、ここでやったのは、その中の一つに過ぎません。また、大変なのでやりませんけど、コウでは他にも、一手ヨセコウ絡みの死活や、万年コウ、あるいは、それらに両コウゼキなどが加わった複雑なケースでも、この規約によって、全て解決できるようです。
あと、そうそう、これも、知っておいたほうがいいかもしれません。中国のルールでは、隅のマガリ四目は死というルールは、存在しません。あくまで隅のマガリ四目は死というのは、日本のルール上だけです。ですから、もし、中国ルールで、囲碁を打った場合、日本ルールでいう隅のマガリ四目が出来ても、死とはせず、コウを争って決着させないといけないのです。まぁ、ほとんどの人には、関係ないですか。 以上で終わります。