ヨセの大きさを考える時、出入り計算を用い、さらに先手と後手を加味して考える。それが前節まででやったこと。人によっては、すでに頭がパンクしていることでしょう。僕としても、ヨセの理論は、このへんにしておきたいのですが、実は、もう一つだけ、必ず身に付けておかなければいけない基本知識があります。それが段階のヨセ(次のヨセとも言われる)です。
前節まででやった知識でも、ホントに小さいヨセだけならば、充分、理解出来るのですが、実戦では、ほとんどの場合、一つのヨセがあると、その後にも続くヨセがあります。これが段階のヨセ。ヨセの大きさは、段階のヨセがある場合、その大きさをもプラスして全体の大きさを割り出さないとダメなのです。また、そうしないと、ホントの終盤しか、正しいヨセは打てません。ここでは、それをやることにします。
ここは、ヨセの基本理論、最後にして最大の山場です。ヨセを勉強しだして、挫折する人の多くは、まず、ここらしいです。ちょっと難しいですが、頑張っていきましょう。
やはり、これも両後手が基本ですね。まずは、次の例題のヨセの出入り計算をしてみましょう。
これで、ヨセの想定図を作れたし、後は、これを比較して・・・。あれっ。でも。???
この上の想定図から、出入り計算をしようとすると、おかしなことに気が付くと思います。ヨセたはずなのに、境界線がはっきりしていないので、何目なのかが分からず、計算しようがない。困ったぞ。 と。
この節までのヨセの知識しかなければ、当然、そうなります。実は、上の想定図は、間違っているんです。というのは、上の想定図は、黒からヨセた図も白からヨセ図も、後手になったので、いったんヨセが終わった感じになりますが、実際には、次のヨセが残っているので、ヨセ自体は完結してません。ということは、境界線がはっきりしないということであり、つまりは、出入り計算が出来なくて当然なのです。あるヨセを考えた時、次の段階のヨセがあれば、それをも考えないといけないというのは、そういう意味があります。
では、改めて、正しい想定図を考えていきましょう。もちろん、少しだけ難しくなります。
ということで、黒からヨセた想定図と白からヨセた想定図をやっと比較することが出来ます。
どうなるでしょうか。白からヨセた想定図をもとに、黒からヨセた想定図を比較して考えますね。(←こういう、どの図をどの図と比べることを最初に、はっきりしておくのは大切なことです。これがはっきりしてないと計算がおかしくなったり、難しくなったりします。経験者は語る。(^_^;) )
これは、黒と白がヨセと時で、黒地、白地それぞれに、3目の出入りがあったということです。ところで、出入り計算は、自分の損得以外に、相手の損得も勘定して、一つの大きさを計算する方法でしたよね。よって、このヨセの全体の大きさは、合計6目となります。なお、これは、両後手のヨセですから、ヨセの価値は、やっぱり6目です。どうでしょう。難しくないですよね。これ以上、簡単に書けませんので。^^;
なお、この2線のハネ継ぎは、実戦でよく出てきますので、このヨセは、6目だと覚えておきましょう。今、ヨセの理屈を説明するため、実際に計算してますが、実戦で、こんなことやってる人、はっきりいっていないと思います。実戦で、こんな計算してたら、時間がいくらあっても足りません。よく出るヨセの形は、だいたい、覚えておくものなんです。そうですね・・・。例えば、数学とか物理の公式を勉強する時って、最初に、その公式を導き出すための勉強をしたでしょ。今、やってるのは、それといっしょです。
もう一つ、段階のヨセが片先手になるケースも多々ありますので、基本として知っておかないといけません。両後手になる場合と少しばかり違います。
この例題は、段階のヨセに片先手がある時どうするかだけがポイントです。繰り返すことになりますが、段階のヨセに片先手がある場合は、段階のヨセを打つ権利を先手側が一方的に持っていると解釈します。
理由を聞かれても、僕には、説明出来ません。だって、ちゃんと説明した本、どんなに探したってないんだもの。^_^; 普通の片先手のヨセは、両後手の2倍の価値があると見ますが、段階のヨセでは、その解釈では困るので、その代り、続けて後を打つことにする・・・。なんとなく、僕は、こういうふうに思ってますが、これは、理由ではないですよね。まぁ、深く考えるのは、やめましょう。
あっ。ヨセの価値を出さないといけませんね。想定図さえ、出来れば、あとは簡単。
こんなのがあるんですよね。形的には、難しくはないんですが。とりあえず、例題を考えてみて下さい。
例題3の図で考えると、白からヨセた場合の境界線は、H13とJ13の間、そして、J13の点は、半目の点ということになります。頭の中で考えて下さいね。
そうして、黒からヨセた場合の想定図をもとに、白からヨセた場合の想定図を比較して考えます。(← 比較のもとにするほうは、自分が簡明だと思う図にしたほうが計算がしやすいです。なお、当然ですが、どちらをもとに比較しても答えは同じになります。)
どうでしょう。分かったでしょうか。そろそろついてこれなくなった人がいそうだなぁ。まぁ、分からなかった人は、この手のヨセは、黒から打った時、2目の価値があるように見えるけど、実は、若干、価値が劣る。これは、2目弱のヨセだとでも覚えておきましょう。それで充分ですね。プロじゃないんだし。
いよいよ最後です。頑張りましょう。しかし、これも実戦でよくあるヨセなんだけど、さらにややこしいんですよね。実のところ、僕もあんまり考えたくない。(^_^;)
この問題を考える前に、半コウの価値とは、一体、何目なのか考えてみましょう。これが分かってないと話になりませんので。
ところで、”半コウ”って、名前に”半”とつくくらいだから、価値は、半目じゃないの? 普通は、そう考えるかもしれませんね。まぁ、そう考えても、実は、全く問題ないし、半コウは、半目の価値と堂々と書いてある本もあるんですが。しかし、正確には、ちょっと違うんですよね。この第4節では、せっかくここまで細かく考えているのですから、この半コウの価値も正確に計算してみましょう。
まず、想定図から。下の図は、いわゆるホントの半コウだけの図です。
ちょっと頭の中を柔軟にして下さい。この半コウのヨセ。黒からヨセた場合、1目の価値を得るためには、1手で済みました。ところが、白からヨセた場合は、半コウを取って、さらに、もう1手、手を入れる。つまり、2手で、やっと、1目の価値を得ることが出来ることになります。すると、これは、どういうことになるのでしょうか。
これは、こういうふうに解釈します。まず、目数の出入りでなく、手数の出入りを考えるのです。手数の出入りは、簡単ですね。1手と2手だから、当然、3手です。これをこのヨセを考えるための基準にします。
つまり、どちらかが、ヨセる前の最初の時点の図は、黒は、3手の出入り中、1手で、1目の利に繋がりますから、2/3の権利を最初に有していると考えられませんか。また、同様に、白の場合は、3手の出入り中、2手、必要ということですから、1/3の権利を持っていると考えることが出来ます。