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第8条 大中小中

境界線を見極めるが、押す手なしの応用とすれば、この「大中小中 (オオナカコナカ)」は、眼あり眼なしの応用にあたります。

すでに、眼あり眼なしでやったように、攻め合いになった時は、眼のある石は、眼のない石よりも有利。それと同じように、一眼ある石同士での攻め合いにも原則があります。それが大中小中。具体的には、大きいナカデの石は、小さいナカデの石よりも有利というものです。これは、ちょっと難しく聞こえるかもしれませんが、基本的には、考え方からどう有利になるかまで、眼あり眼なしと全く同じです。ただ一つ違うのは、ナカデの手数を数える必要があること。これさえ出来るようになれば、大中小中もすぐに理解できると思います。よって、ここでは、まず、ナカデの手数の数え方からやっていきましょう。

ナカデの手数については、便利なことに、ナカデの九九というものがあります。

三3、四5、五8、六12 (サンサン、シゴ、ゴハ、ロクジュウ二 と読みます。)

これは、そのまま、三目ナカデは、3手。四目ナカデは、5手。五目ナカデは、8手。六目ナカデは、12手。という意味です。それぞれ確認してみましょう。なお、念のため言っておきますが、これらは、内側だけの手数です。

まずは三目ナカデから。

説明図1

次に、四目ナカデと五目ナカデ。

説明図2

最後に、六目ナカデ。

説明図3

以上のように、ナカデの手数は、九九を忘れても数えることが出来ますが、大きいナカデほど、数えるのは、大変です。少しでも実戦の時の負担をなくす意味でも、このナカデの九九は、しっかり覚えておきましょう。
 ちなみに、僕は、これ、覚えやすいように、何かいい語呂合わせないかぁと、(例えば、三々、死後、碁は62。など。) いろいろ考えていたら、いい語呂合わせが思いつく前に、いつの間にか覚えてしまいました。(笑)

では、このナカデの九九を覚えてしまったとして、以下の図は、外のダメの数も含めて、黒の手数は、何手か考えてみて下さい。

例題1
上辺図: まず、内側から。4目ナカデは、5手。しかし、すでに2個、石が入っているので、差し引き3手になる。あと、外の手数は、4手。よって、この黒の手数は、7手ということになります。
下辺図: まず、内側から。5目ナカデは、8手。中に入っている石が3個。よって、5手。外は、4手。ゆえに、この黒の手数は、9手ということになります。

すぐに分かったでしょうか。分かれば、とりあえず、ナカデの手数を数えることは理解できたと言っていいでしょう。と、言いたいところなんですが、実は、あと、やっかいな問題が2つあるんです。困ったことに。(^_^;)

またもや、次の図のナカデの手数は、それぞれ何手か考えてみて下さい。

例題2

ナカデの九九通りなら、右上隅、四目ナカデですから、5手。左下隅、五目ナカデですから、8手になるはずなんですが、実は、ナカデの形の中に、絶隅の点、二の二の点、二の一の点(2つ)の4点が、含まれていると、ナカデの九九通りの手数にはならないのです。これ結構、大切なことです。実戦でのナカデの攻め合いって、隅のナカデとの攻め合いになることが多いですからね。

具体的に、右上隅の四目ナカデから考えてみましょう。

手数の少ない四目ナカデの図

次に、左下隅の五目ナカデについて。

手数の少ない五目ナカデの図

以上のように、四目ナカデが、3手。五目ナカデが、4手と、ナカデの九九とは大幅に手数が減少しています。隅のナカデには、充分、気をつけたいですね。

さらに、次の場合もナカデの手数が少なくなるケースです。以下の図の黒の手数は、何手でしょう。

形に欠陥がある形のナカデの図

このケースのように、囲い自体がしっかり繋がっていないナカデも、手数が短くなります。これも確認してみましょう。

手数の少ない五目ナカデの確認

以上で、ナカデの手数については、全て終了です。最後に、例題をやって、本題の大中小中に戻ることにしましょう。

【 例題1 】 黒先で、この攻め合いに勝って下さい。
例題1の図
ヒント : この問題、黒先でも隅の黒は生きてませんが、外の白も生きてません。しかも、白の外ダメの数は、6つ。ということは、隅をあのナカデの形にすることが出来れば・・・。

解答です。

例題1の解答変化図

続きです。

例題1の解答変化図2

失敗。この例題、ちょっと難しかったですね。簡単だと思ってたんだけど。^_^; これ、多分、初段クラスの人でも、間違える人、絶対いると思うので、級位者の人で、すぐに分かった人は、自信、持っていいですよ。

さて、大中小中の話に戻しましょう。次の例題を考えて下さい。

【 例題2 】 黒先で、この攻め合いは、どちらの勝ちになるでしょうか。
例題2の図

この問題のそれぞれの手数を普通に数えると、

黒、ナカデは、3−1で2。外ダメが4。内ダメが2で、合計、8手。
白、ナカデは、5−2で3。外ダメが2。内ダメが2で、合計、7手。

つまり、最初の段階で、すでに、黒の手数は1手多いわけだから、黒から打てば、当然、黒の勝ちのように思えます。ところが・・・。

例題2の解答変化図

ここまで、全部理解してきた人は、ピンときたと思いますが、

大きいナカデと小さいナカデとの攻め合い(つまり、大中小中)では、眼あり眼なしと同じように、内ダメは大きいナカデのほうに一方的に味方する。

というわけです。これをもとに、例題2の手数を計算すると、

黒は、内ダメが手数に入らないので、本当は、6手。白は、7手。よって、黒から打っても、この攻め合いが白、勝ちになったのは、当然のことだったわけですね。

以上で、第8条、大中小中について終わります。

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