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死活の予備知識
コウについて

死活を考える際、必ずと言っていいほど、コウというものが登場します。ところで、あなたはコウのことをどのくらいご存知ですか。コウというのは、結構、奥が深いもので、実はいろんなタイプのコウがあるんです。ここでは、僕に理解出来ていて、かつ、死活に関係ありそうなコウを紹介していきます。(いろんな基本死活を考える際、コウが出てくるたびに、そのつど解説を加えていると大変なので、ここに一括してまとめることにしました。)

【1】 本コウ

もっとも普通のコウのことです。通常、ただ‘’コウ‘’と呼ばれることも多いんですが、‘’ヨセコウ‘’と呼ばれるコウに対する言葉として、こちらも結構使われます。特徴は、白、黒、両方が一手でコウを解決できるコウ。言い方を替えれば、白、黒ともに同じ条件で、コウ争いに勝ったほうが、即、利益を得ることが出来るコウのことです。言葉で書くと余計ややこしいかもしれません。(^_^;) 図を見て頂いたほうが早いと思います。下の図は、本コウの例です。(上辺と下辺とは同じ図です。念のため。)

本コウをアプレットで説明

コウのことを詳しく知らない方は、コウってこれ以外にあるの?と思うかもしれません。僕も前はそう思ってましたから。ところが、いろいろあるんですよ。コウを詳しく考えて分類すると。(^_^;) しかし、常に基本となるのは、この本コウです。

【2】 ヨセコウ

一方は、一手で解決できるのに、もう一方は、一手で解決できないコウのこと。つまり、一手で解決出来ない方にしてみれば、自分が不利なコウとも言える。また、何手で解決出来るかによって、一手ヨセコウ、二手ヨセコウと呼ばれたりする。これも、言葉で説明されただけじゃなんのことか分かりませんね。とにかく下の図を見て下さい。ヨセコウの一例です。(やはり上辺と下辺は、同じ図です。)

ヨセコウを説明するためのアプレット1

上の図は一手ヨセコウ。そして、同じように考えて、黒が本コウにするためにもう一手必要となるコウは、二手ヨセコウ。一応、この図も作りました。

ヨセコウを説明するためのアプレット2

以上のように、ヨセコウは、手数が増えるほど相手側が有利なコウとなります。そして、このように考えていくと、理屈で言えば、3手ヨセコウ、4手ヨセコウというのがあるわけなんですが、実際には、3手以上はヨセコウとは呼びません。それはなぜか?ちょっと考えれば分かることですが、3手以上はコウに勝つのは、ほぼ不可能ですし、仮に勝てたとしても、外ダメを詰めている間に相手に3手以上、他の大所に先行されてしまう可能性が高いからです。格言にこんなのもあります。『3手ヨセコウはコウにあらず』まさにこのことを言っています。

最後に、これらをまとめて表にしてみました。

本コウとヨセコウの比較図
コウの種類 外ダメの数 コメント
本コウ 1つ 双方互角。
一手ヨセコウ 2つ 相手が有利。
二手ヨセコウ 3つ 相手がかなり有利。
三手以上 4つ以上 相手がかなり有利で勝つ見込みもないし、無理に勝とうとすれば、必ず他で大きな犠牲を払うことになるので、そもそも、コウ争いをする価値がない。

【3】 万年コウ

中、上級者以上の対局では、たまに現れると思います。万年コウとは、仕掛けにいったほうが不利な本コウになるという特殊なコウで、両者ともに、自分からは仕掛けにいきづらく、そのまま終局して、セキというのが相場のコウです。もちろん、これは相場の話ですから、不利を承知でコウを仕掛けにいく時もあります。(例えば、そのままセキで終局してしまっては、負けが確定してしまう時ね。)

万年コウを説明するためのアプレット

万年コウの形は双方がパスして対局の停止となるまで、そのままの形ならば、最後に、セキにする権利のある方がコウを取って、セキということになります。(継ぐ必要はない。)なお、平成の新規約では、セキにする権利のない方がコウを取った形でも、セキという扱いとなりますが、それだと、セキにする権利のある方がみすみすアゲハマ分、1目損することになりますので、必ずセキにする権利のあるほうがコウを取ります。

【4】 二段コウ、三段コウ

二段コウは、最終的に勝つためには、2つのコウに勝たないといけないというコウ。三段コウは、3つのコウに勝たないといけないコウ。これは初級者同士の対局でも出来ることがあるので、図を見れば、どういうものかは分かると思う。

二段コウ、三段コウを説明するためのアプレット

ちょっと付け加えておくと、二段コウ、三段コウは、ヨセコウと同じように、一つのコウに勝っても、その後、すぐに解消することが出来ないので、本コウよりも価値の低い (本コウよりも、勝てても、どこかで損する分が大きいから)コウと言えます。

【5】 両コウ

これが一番、難しいかな・・・。両コウとは、一つの形に、二つのコウが出来た形のこと。 このこと自体は、別に難しくはないのですが、やっかいなのは、周りの状況によって、それが生きになったり、セキになったり、死になったりするという性質を持っている点です。言葉だけで、説明するのは、非常に難しいので、アプレットで、それぞれの例を見ていって下さい。

両コウを説明するためのアプレット

付け加え。両コウは、その性質上、どこか他の場所でコウが発生した時、無限のコウ材として利用される点には、注意が必要です。

また、三コウというのは、この両コウがさらに複雑になった形ですが、実戦でも、死活の問題でも、出てくることは、まずないといっていいので、特に知る必要はないと思います。あっ。三コウが出来たら、双方が譲らない限り無勝負というのだけは、雑学の知識として知っておいていいかな。(というかそれは知ってるかな。ヒカ碁にも出て来たし・・・。)

◆ 最後に

他に、循環コウ、長生といった、コウの形をしてないのに、同じ形を反復してしまうという特殊なものがありますが、これらも実戦では、まず出てこないし、複雑なので省略します。 なお、これらも実戦で、もし、出来れば無勝負です。

補足。以下の言葉は、コウという言葉が付きますが、コウの種類ではありません。

#ソバコウ
現在、争っているコウのそばにあるコウ材のこと。普通は、ソバコウの数が多いほど、コウ争いは有利。ちなみに、大模様の中でコウになれば、生きも同じと言われますが、それは、外に出て行こうとする手や、相手の石を取ろうとする手など、普通は、たくさんのソバコウが出来るからです。
#損コウ
打つと損してしまうというコウ材のこと。損コウは、コウに勝っても、コウの価値が下がってしまうので、プロは、めったに打たないとされています。 でも、アマは、よほど強い人でない限り、損コウを打つことが多いようだ。だから、アマは、コウが苦手な人、多いんでしょうね。もちろん僕も含みます。
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