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2. 初めての碁会所訪問。そして、挫折

5月中旬

5月のある晴れた日曜の昼下がり、私は車で一路、国道をひた走る。(Yさんいるかなぁ。)と不安に思いつつ、高まる胸をおさえながら、アクセルをふかす。もちろんその行き先は、『碁会所』。(笑) この日は特に予定がなかったので、先月のYさんとの約束を果たすべく、碁会所に遊びに行くことにしました。それなのにまさかこんな悲劇が待っていようとは、この時は知る由もありませんでした。

(あっ。なんだここか?)
 紹介された碁会所のテナントビルに到着してみるとそこは、初めてきた場所に違いなかったのですが、いつも目にしていた建物でした。それというのも、1階がなんと、僕ら理容師の敵ともいえる安売りの床屋、通称『安床』でした。しかも、安床は組合に入ってないので、他の理容店はすべて休みなのに、当然この時も営業中でした。

(なんちゅーとこにあるんだよー。まさか、このテナントに足を入れることになるとは。全く、もう・・・。)
 碁会所はこのテナントビルの2階にありました。でもまあ、気をとり直して、階段の1歩を踏み込もうとしたまさにその時でした。気の弱い私は、
 (やばー。すげー緊張してきた。)
 あまりの緊張に耐えられなくなった私は、そこですぐに碁会所に行くことをあきらめ、いったんテナントの外に出ることにしました。

(何、やってんだろ。俺。)
 テナントの外に一人でぼさーっと突っ立っているわけにもいかず、気持ちが落ち着くまで、とにかくその辺りを散歩することにしました。(笑) そして、1周。それで落ち着いたわけではありませんが、これ以上、うろうろしていると、不審者に間違われるので、(笑) ついに覚悟を決め、碁会所に突入ー。

「こんにちはー。」
 これが私が碁会所に入った第1声。この日は日曜ということもあり、人がいっぱいでした。中は、意外と明るい雰囲気で、碁盤は、ぱっと見て30台以上はありました。ただ、やはり客層は、自分よりもかなり上の方ばかりで、
 (やっぱり場違いのところに来ちゃったなぁ。)
 と思ったのも事実。となると頼みの綱はYさん。しかし、ぐるりと見渡して、今日はYさんはいないもよう。仕方がないので、誰か打ってくれる人を店長さんに紹介してもらおう。などと考えていましたが、そのうち、私はあることに気付きました。 さっきから、「こんにちはー。お願いしまーす。」って言ってるのに、肝心の受付の人が来てくれないんです。これは、初心者が碁会所にくれば、暖かく迎えてくれると思っていた私にとってかなりのショックでした。そこでどうすれば、いいのか分からず、そこで立ち尽くしていると、私の横をある年配の方が通ろうとしましたので、
 「すいません。初めてなんですけど、ここの受付の方は?」
 と聞くと、
 「あー。向こうの方に見える黒板の前で背広着て、話、してる人。今、今度の大会の選手のことで話しているところだから、ちょっと待っといて。」
 それだけ言うとその年配の方はそそくさと帰っていってしまいました。
 (ちょっとー。それはないでしょ。僕はどうすればいいの?)
 とはいえ、どうすることも出来ない私は、その後もその場で何もせず、5分間は立ち尽くしたでしょうか。ただでさえ、緊張している所に持ってきて、まだまだ受付の人がきてくれる気配さえしなかったので、ついに我慢できなくなった私は、そのままその碁会所を後にしてしまいました。(笑) その5分間がひじょーに長く感じたのはいうまでもありません。まさに恐るべし碁会所といったところでしょうか。

この日はいったい何しにいったんでしょう。そーですよね。碁会所の周りをうろうろした上、碁会所を覗いて、何もせず帰ったのですから。(笑) なお、これを読んだ方、私を変なやつだと思わないで下さいね。僕、上がり症なだけなんですよ〜。(笑)。

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